誰でもできる、どんな仕事にも集中できる仕事術とは?

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■どんな仕事にも集中するための方法はあるのか?

仕事をしているときのご自身の「感情」に思いを寄せたことはありますか?

わたしは、仕事において集中してワクワクしながらフロー状態を経験できることもあれば、やっつけなければならない義務感から、辛いと思いながらこなす仕事もあります。

仕事をしている時、人は自分ではあまり意識はしていないと思いますが、実際は「感情」が大きく揺れ動いているはずです。そして、その「感情」によって、自分のモチベーションも揺れ動いているように思います。

 

私は、いわゆる定型業務や、同じような仕事を繰り返すことに極端に苦痛を感じます(笑)。もちろん、ミスなくこなすことはできるのですが、新しさや自分の創意工夫が入らないような仕事になればなるほどその仕事に対する興味を失ってしまう度合いが、かなり大きいのです。

そんな困った自分は、「どうやったら興味を持てない仕事にも集中できるようになるのか」という、これまた世間一般の大人たちがあまり考えそうにない本質的な問いを、ずっと自分に投げかけてきました。ふつうは「仕事なんてそんなもんだよ」と割り切るのでしょうが、私はこうした本質的な答えを探す悪い?クセがあるのです(笑)。

そしてそれは、単に「時間を決めて取り組む」とか、「仕事が終わった後のご褒美を用意する」などという、外的要因による動機づけではなく、自分の心の中から内的に仕事に興味を持ち集中して取り組むための方法を探していたのです。

なぜなら、内的プロセスを身につけなければ、結局はその日の天気や気分、職場環境などといった外的要因によって自分の仕事のパフォーマンスが左右されてしまうからです。仕事におけるパフォーマンス(品質)を一定に保つには、自分の内的要因によって仕事への集中を自ら作り出すプロセスが必要なのです。これは品質管理の考え方と同じです。

 

そんな本質的で答えが無いような問いを長い年月自問してきた結果、おぼろげながらですが、ある程度はどんな仕事にも興味を持ち、集中して取り組むためのスキルを後天的に開発できたように思います。

さて今日は、そんな「仕事に集中するための内的プロセス」について、私の持論を述べたいと思います。みなさまも頭の体操、息抜きに、是非ともお付き合いくださいませ!

 

■コントロールすべきは感情か行動か?

みなさまの経験上、やりたくない仕事をしているときはモヤモヤした感情があったり、逆に楽しい仕事の場合は目が冴えすっきりした感情があったりしませんか?

このように、仕事をしながら抱く「感情」というものが、我々の仕事に向かう動機づけに大きく影響を及ぼしていると考えていました。

そして、もしこの「仕事に取り組む際に抱く感情」をうまくコントロールできたら、セルフモチベートが上手にできるのではないかと、ずっと考えていました。

 

ただ、「感情」というのは最終的に表出された結果であり、これ自体をコントロールすることはできません。よってコントロールすべきは、「仕事に対する根本的な考え方」、つまり、「自分の仕事観をどのように選択するか」、ということに尽きます。

仕事観とは、仕事に対するその人の基本的な考え方や取組み姿勢を示すものです。その人の「仕事における基本OS」と言って差し支えないでしょう。

もし、この仕事観の基本OSを複数持ち、仕事の特性に応じてうまく差し替えることができたら、どんな仕事にも集中して取り組むことができるのではないかと思いませんか?

 

 

 

■対極にある2つの仕事観

これを実現するには、対極にある2つの仕事観のバランスを取ることがとても大切だと考えるようになりました。

この2つの仕事観はみなさまの中にも必ずあるものです。しかし、それを「自分でコントロールして意識的に選択する」ということは、おそらく今までやったことがないのではないでしょうか?
私がご提案するのは、

この2つの仕事観を、仕事の特性に応じて意図的に選択することで、仕事への集中力を後天的なスキルとして発揮することができる

という方法論です。

さてまずは、その2つの仕事観をご説明します。2つの仕事観は対極にある概念ですが、しかし仕事を通じて調和できるという、不思議な関係にあるように思います。

 

1つは、他人や周囲の期待に応えるために行動する仕事観です。

仕事をする以上、基本的にはクライアントの期待に応え、かつその期待を上回ることを目指すのだと思います。その結果、仕事の具体的な成果や信頼などを得ていく、というのが仕事の基本サイクルです。
「期待に応える仕事観」と呼びましょう。

 

もう1つの仕事観は、自分がしたいから行動する仕事観です。

いわゆる自己完結型の仕事の仕方で、他人からの評価はあまり重視しません。自己満足が基本であり、行動できたことそのものに満足します。
「自己完結型の仕事観」と呼びましょう。

 

さて上記の仕事観は、どちらもメリットとデメリット(という表現が適切なのかはわかりませんが)があります。
また、あなたはどちらの仕事観により近いスタンスで仕事をこなしているでしょうか?

 

■期待に応えすぎるとストレスになる

「期待に応える仕事観」は、基本的に社会的なバランスの良い人材の持つ仕事観だと思います。
器用な人や完璧主義の人が持ちやすい仕事観ではないでしょうか。

世の中の仕事の基本は、クライアントのなんらかの問題解決です。よって、クライアントの問題をよく理解し、かつ期待を上回る成果を出せれば、仕事は成功と言えるでしょう。

クライアントは上司であったり、顧客であったり、場合によっては部下であったり様々です。
いずれにせよ、クライアントの期待を上回り続ければ「できる人」、「頼りになる人」、「何かあればあの人に頼めば良い」といった信頼を得ることができます。

とっても優秀な仕事観ですが、他人の期待に応えすぎるあまり、自分の欲望ややりたいことを我慢してしまう傾向が出ると思います。本当は違う仕事をしたいのだが、期待されているのはあまり好きではない仕事であっても、これに応えてしまう。

基本的に器用なので、どんな仕事もソツなくこなしてしまうのです。周囲からの評価や信頼はどんどん蓄積していくのですが、その半面、自身の内面では、

やりたい仕事に全力でチャレンジしてみたい、という”働く野生”がどんどんくすぶっていく

といったことになり、突然ストレスからバーンアウトすることもあります。
けっこうストレスが溜まってしまうタイプの仕事観です。

 

■評価されにくい変わり者

「自己完結型の仕事観」は、基本的に自分がしたいことには注力しますが、それ以外には興味を持てません。

その結果、「期待に応える仕事観」の人と比較すると仕事の成果が低くなります。これは能力がないということではなく、そもそも仕事に興味を持てないので、仕事のゴールを初めから低く設定している事が原因です。

そのかわり、自分がしたいことには徹底的に注力するので、そのような仕事の場合には活躍できます。
クライアントの期待に応えるというよりも、自分が納得できる仕事をしたいため、クライアントが想定していなかったような細かい部分まで神経がいきます。

そうした点を逆にクライアントに提案していくので、クライアントからすると「提案力のある人材」に映ります。
ユニークな発想を持っていたり、非常に細部までこだわったりする人と認識され、スペシャリストとして待遇されます。

ただし本人は自分が納得して仕上げたいだけであり、他人からの評価はあまり気にしません。
よってストレスは比較的少なく、いつまでも仕事に没頭できます。

ただ没頭できない仕事の場合は成果は低くなり、周囲からは変わり者とか、専門家といった見方をされます。

これらの仕事観は、両方とも皆様の中にあると思います。どちらか一方の極に触れていることはあっても、どちらも存在する仕事観です。

 

■他人の期待を上回りながら、自分の専門領域とせよ

さて、どちらも一長一短の仕事観です。
しかしこれらを調和させ、いいとこどりすることができると思います。これが、私が前述していた「2つの仕事観を意図的に選択する」方法です。

まず、やりたいと思わない仕事を依頼された場合は、「期待に応える仕事観」によって、クライアントがどんな問題や課題を抱えているのかにフォーカスします。

与えられた仕事の内容そのものにフォーカスしてしまうと、やりたくないという気持ちが先行してしまい、仕事の成果も低くなってしまいます。

そうではなく、クライアントの課題は何か?を一生懸命に考えるのです。
すると、自分の興味のある領域の知識やノウハウを使って問題解決できる可能性に気付くことができます。
少なくともカスるくらいの仮説を立てることはできます。

そうなったら「自己完結型の仕事観」を持ちだして、その領域を深堀します。
他人が考えもしていなかった発想や切り口で問題解決の糸口を探っていく行動は、かなりスリリングかつエキサイティングです。

そうして仕事の内容そのものにも興味を持てるようになれば、もう仕事は終わったも同然です。

結果的に、他人の期待を上回りながら、自分の専門領域として没頭し、高いパフォーマンスを発揮することができます。

 

具体的に説明しましょう。

たとえば、もう何度も繰り返しやってきた同じ仕事をまたしなければならないとしましょう。

私は同じことの繰り返しがとてもイヤなので、まったく興味がわかないし、できればやりたくないとさえ思ってしまいます。こういったときほど、私は時間をかけてでも自分を前向きに納得させてきました。不満を抱えたまま仕事をこなして成果が中途半端になることは避けたいからです。

 

まずは「期待に応える仕事観」によって、本質的な仕事に対する期待を探っていきます。

具体的には、この繰り返しの仕事をすることで、何か組織に貢献できることはないか、生産性を向上させるための方法はないかを徹底的に考えます。

すると、その仕事を自分が担当しなくても良くなるように、かつ高品質の作業で誰でも完了できるようなマニュアルの作成をすることが、今の組織に必要だ、といったような答えが出てきます。

そうなると、この仕事の位置づけは、他の人に引き継げるようなマニュアル化をするための試験的な仕事になります。繰り返しの仕事そのものを、引き継ぎ資料を作成するという目的の手段にしてしまうことができます。

つまらない仕事は、仕事そのものの遂行を目的にしているからつまらないのです。よって、より大所高所から見た目的で包み込んでしまいましょう。すると、マニュアル化は今までやっていない仕事なので新規性があるし、今後は他の人に任せられるので仕事が効率的に回るようになる、といったメリットが得られることに気づく事ができます。

さて、そうなったらしめたものです。「つまらない作業の繰り返し」だけでしかなかった仕事は、今や「効率化のための取り組み」に変わり、自分の中でも前向きに仕事に取り組もうという気持ちになります。そうしたら「自己完結型の仕事観」を持ち出して、

  • マニュアル化するなら目次構成はどうするか?
  • 誰をターゲットにして作成すべきか?
  • 作業プロセスを見える化するために、業務フローをどうモデリングするか

などといった、「誰からも指図されない課題を自ら設定し、自ら答えればよい仕事」だけに没頭することができるようになります。

実際にマニュアル化を意識して仕事をすると、なかなか言葉だけでは伝えにくい手順があったりして、プロセス化をどのようにしようかと頭を悩ますような「挑戦的な課題」も出てきたりします。

そういった課題に出くわせば出くわすほど、乗り越えた際の達成感や、より高所から仕事を見られるようになったという効力感を得られるようになります。

そして何より、その仕事は、誰からも期待されていない、自分が自分のために行う仕事になります。フロー状態は、こうした「意味のある仕事を、自由な環境で、自分の興味のある分野で、かつ自分がコントロールできる状態で取り組む」ことで生まれるのです。

 

■ワクワクの種を育てる

私はいままで上記のようにして仕事をしてきました。

興味のない仕事でも、自分の領域に引っ張り込んで、自分の課題にしてしまうことで、自己完結型の仕事に変化させるのです。もちろん全ての仕事でそうできたわけではありませんが、このように前向きに仕事に向き合うことで、仕事の成果も高まると思います。

私は「期待に応える仕事観」が9割で、仕事が始まったら「自己完結型の仕事観」が9割を占めるような、動的な平衡を保ってきたと思います。

しかし、仕事の始まりはほとんど「期待に応える仕事観」でした。
これは、本来自分がしたかった仕事ができないことも示します。

最近思うところがあったのですが、普段の自分を振り返ってみると、周囲の期待に応えようとし過ぎて、かなりストレスをためていたのだと思えました。

普段はストレスなどないと確信していたのですが、いざ客観的な視点から自分を見直さなければならない境遇に陥った時、ほんとうに無理してストレスまみれだったと痛感しました。

これからは自分の「働く野生」に正直に、やりたいことを誰の評価も気にせずにやっていく割合をどんどん増やしていきたいと思います。

少なくとも「自己完結型の仕事観」はストレスをあまり感じません。
自分さえ納得できればいいのです。自分の仕事の成果をあとから振り返って自己満足し、にやにやしてればいいのです。

とっても健全?ですね(笑

冗談ではなく本当にそう思います。

ちょっとストレスをためない仕事を中心に、人生を再構築していきたいと思っているこのごろです。

 

<筆者紹介>

佐藤 創(さとう そう)。合同会社クリエイティブファースト代表。経営コンサルタント。中小企業診断士、高度情報処理技術者、キャリアコンサルタント。

「変化を求め明日を企てる事業者様の良き参謀役」として、ビジョン実現に向け経営者と伴走しながら共に汗をかく、ハンズオンでの支援を身上とする。独自のビジネスモデル分析による経営改善手法が好評。

得意な支援ジャンルは、新規事業開発・事業戦略による売上拡大、IT導入・活用による生産性向上および販路開拓、金融支援(リスケ等)を伴う経営改善・事業再生。

合同会社クリエイティブファースト
佐藤創Facebook

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