ビジネスモデルを左右するたった2つの要素とは?
どんな事業であれ、共通して大切なことはビジネスモデルであると言えます。ただビジネスモデルというとやや幅広いイメージがあり、重要なポイントがぼやけてしまいます。よって私はビジネスモデルの要点を2つだけに絞っています。
要素の1つが、事業の「コスト構造」であり、
もう1つが事業の「収益構造」です。
コストと収益の構造はそれぞれ大きく2パターンに分かれます。
コスト構造の2パターン
事業のコスト構造は大きく、固定費型と変動費型の2種類に分けることができます。
固定費型とは、初期投資が大きかったり、毎月の固定費が大きい事業構造のことです。例えば、私が属する「情報サービス業」は基本的に固定費型のビジネスです。受託したシステムを開発するのは「人」ですから、人を雇わないといけません。「人件費」つまり給料は、仕事があろうがなかろうが基本的には一定額の支払いが求められるので、営業量にはあまり左右されない費用、つまり固定費となります。
変動費型は小売業をイメージするとよいでしょう。商品を仕入れて販売する形態です。もし需要が少なくなれば、仕入を少なくすることで仕入れコストを変動させることができます。このように、販売をするために必要なコストを需要に応じて変動できるのが変動費型のビジネスです。
この両者の結論を言うと、固定費型ビジネスはハイリスク・ハイリターン型で、変動費型ビジネスはローリスク・ローリターン型です。固定費型は月々の固定費が大きいので、売上が少ないと赤字になりやすいのですが、一旦黒字化すると、その利幅も大きくなり、急激に利益を獲得できる構造になっています。
ビジネスをするうえでは、固定費型なのか変動費型なのかを把握しておき、事業構造に応じた事業計画を策定することが大切です。
収益構造の2パターン
次に収益の構造です。これにも大きく2つあり、フロー型ビジネスと、ストック型ビジネスがあります。
フロー型とは、商品やサービスを販売した時点で売り切るタイプの事業です。販売時点で大きな売上を獲得できますが、常に次の顧客を探して仕事を継続的に獲得することが必要になるので、営業力が求められます。
ストック型とは、携帯電話の料金プランやクラウドサービスのように、一度契約すると契約期間は継続して収益が上がるビジネスです。継続利用を前提としているので、月々(または年々)の売上はフロー型よりも低くなります。
同じ商品やサービスでも、売り方によってフロー型にもストック型にもできます。フロー型は一時期に大きな売上高を獲得できるメリットがありますし、ストック型は継続的な収益を獲得でき経営が安定するメリットがあります。
資金的に厳しい時期はフロー型の事業するとか、将来的な経営の安定を目指してストック型ビジネスをゆっくりと立ち上げるなど、これも企業の状況に応じて戦略的に決めていく必要があります。
情報処理サービス業のビジネスモデルは?
私が以前に従事していた「情報処理サービス業」は、固定費型かつフロー型のビジネスです。仕事があろうが無かろうが固定費が発生するという点でリスクがある事業です。かつ安定した収益は上げにくく、受託していくら、という売り切り型の事業です。なので営業力の有無が事業に与える影響はかなり大きいです。仕事がなくなるとすぐに赤字になるので、どんな仕事でも受けようと思い、あまり面白みのない仕事や、低単価の仕事も受けるような誘因が働きます。
仕事量が下火になると急にカツカツになります。仕事があって利益を確保できている時期に、ストック型ビジネスを立ち上げるなどしないと、経営が安定しません。年がら年中仕事に追われる事業になりやすいです。このあたりの特徴はビジネスを始める前から「自明」なほどはっきりしています。
こうしたビジネスの特徴を前提条件として営業戦略、人的資源戦略を策定しないと、「全員が忙しくがんばっているのに誰も幸せになれず疲弊する事業」を作ってしまいかねません。
皆様も自社事業のビジネスモデルを考えてみると、新たな課題や機会がみつかるかもしれません。